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「隊長にぜひ見せてあげたい川があるの。
それは櫛田川と一之瀬川といって、とっても綺麗な川なのよぉ〜」
ウットリした瞳で回想しながら話すカズねぇ。。。
この話を何度も聞かされていた隊長は
「カズねぇがそこまで言うのなら、ここはひとつ行かねばなるまい!」
と思い立ち、三重の山奥にやって来てしまった。
道の駅・飯高で待ち合わせ。
この辺りは本当に静かで、じつにのんびりとした時間が流れていた。
初めて訪れた地なのに、この町の雰囲気がすっかり気に入ってしまった。
なんという心地良さだ。心が落ち着く。。。
そんな雰囲気の土地に流れる”未だ見ぬ清流”に、期待は膨らんだ!
道の駅でカズケイさんと落ち合ったあと
スタート地点となる”野々口の沈下橋”へと向かった。
あまり広くない場所で舟を膨らませていると
向こうからカズケイさんの”ちょっとした言い争い”が聞こえてきた!
関西風に言うと、”オトンとオカンの口喧嘩”といったところか?
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スタート地点の沈下橋から上流側の眺め
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この言い争いは、彼らにとってはよくある事なのかもしれないが
なぜ隊長が”言い争い”と表現したかというと
あのケイにぃが、荒っぽい語尾で言い返していたからだ!(驚)
もう一度言う。 あのケイにぃが、だよ!
あの温厚なケイにぃが、カズねぇに言い返している!
そしてなんだかイラついている!(珍)
そんな場面を初めて目の当たりにした隊長は
少々焦りながら、その場を取り繕おうと歩み寄った。
隊長「なにを朝から大きな声で話してるの?
二人とも真っ赤な顔しちゃってさぁ〜。
舟を膨らませずにホッペを膨らませてどうするよ。(^;^)」
カズ&ケイ「。。。。。。。。。。(笑えねえっ)」
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いない、いない、バァ〜!
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一瞬の沈黙のあと
カズねぇ「だからこれを先につけてからやろぉー!」
ケイにぃ「ちゃう!って、コレからせんと
アレが入らん言うてるやろぉおおお!」
完璧に無視される隊長。。。 トボトボと自分の舟に戻った。。。
スタート地点の河原へ下りると、小さなコンクリの沈下橋が架かっていた。
これがみんなのツーリング写真によく出てくる橋だなぁ!
と思い、辺りを眺めているといきなり
「発電放水があるから気をつけてください」という主旨のアナウンスが流れた。
どこかで僕らの行動を見ているかのようなタイミングの良さだった。。。
櫛田川へのプロムナード的なこの沈下橋をくぐり抜ると、
どこか”おとぎの国”へでもワープしたかのような素晴らしい景色が広がった!
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しかしカズねぇは首をかしげている。
カズねぇ「うわぁ〜、残念。今日はえらい水量が少ないなぁ〜。
普段はもっと水があって、もっともっと綺麗なんやでぇ〜!」
隊長に”良いコンディションの櫛田川”を見せることができず悔しがるカズねぇ。
いやいや、充分綺麗である。(^;^) これだけの景色なのだから
それなりの水量が流れていれば更に綺麗なのだということが充分うなずける。
さて、このすがすがしさに調子よく漕ぎ出したはいいが、あることを思い出し
すぐにカズケイさんの後ろへ回り込み、あとをついていくことにした。
というのも、櫛田川は忙しいくらい次から次へと瀬が現れると聞いていたから。
しかも川底の岩がクシのように幾筋も突出しているので
船底のキールを引っかけないように注意せねばならないという話だった。
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上流から見る中之瀬橋 山吹色の橋というのは珍しい
この橋の下(左岸)で親子が遊んでいた
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川底には左の写真のようにクシのような岩がいくつも見受けられた。
この川の最も特徴的な光景だろう。
隊長はいろんな川を下ってきたが、こんな川模様は初めて見る。
これが櫛田(くしだ)川の名の由来のようにも思えるが、
一般的には、昔、天照大神の要件でこの地を訪れた倭姫命という人が
この川で櫛を落とし、大若子命という人に拾い上げてもらい喜んだことから
この土地を櫛田と呼び、この川を櫛田川と呼ぶようになったらしい。
川底に幾筋も伸び出た岩。
この独特な光景を見るだけでも下る価値のある川だろう。
渓谷美の中を漕ぎ進むと、段々になった瀬が現れた。
水量が少ないので慎重にルートを選ぶ。
ゴツゴツした岩が幾つも顔を出し、渓谷の印象を一層引き立てる。
噂通り、次から次へ現れる瀬! 瞬時に判断しなければならない。
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立て続けにやってくる瀬の中で、涼しい白泡を浴びては
そのあとに訪れる穏やかなトロ場で落ち着きを取り戻す。
そしてまたゴツゴツとした瀬に突入してゆく。
なるほど軽快な川だ!
ケイにぃ「たいちょー!どうっすかぁー?櫛田川ぁー!」
隊長「綺麗な所ですねぇ〜。しかし私は
”過激派のケイにぃ”とは違い、のんびりツーリング派なので
小さな落ち込みでビビッてますよ!(^;^)」
カズねぇ「今日は水が少なくてホントに残念!
隊長に”普段の櫛田川”を見せてあげたかったなぁ〜!」
隊長「この時期どこも雨が降ってないから仕方ないよ。
それにしてもいい景色だねー。」
カズねぇ「トロ場が少し澱んでいるところを見ると
櫛田川も相当雨が降ってないみたいだね。」
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気持良い青空の下、僕たちは漕ぎ進んだ。
時に水しぶきを浴び
時に船底をこすりながら
この川の空気を全身で吸い込んだ!
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木陰のある河原でお昼ごはん
目の前には清冽な流れ
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7月も末だというのに、腰まで浸かるのが精一杯だった(冷)
やはりスーツを買うべきか。。。(悩)
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ケイにぃの場合
”泳ぐ”というよりも、”浸かる”といった方がピッタリなのだ。(笑)
その時の顔が子供みたいでじつに可愛い。(^;^)
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想像以上に流れがきつく、押し流されるカズねぇ。
彼女は本来カナヅチなのだが
ライフジャケットのおかげで安心して楽しんでいる。
左写真の川柳の、”鳴り止まず”の心は
「こんな一大事な時でも、セミの鳴き声は
相変わらず何事もなかったように鳴いていた」
ということにしておきましょう。
しかしその一句に隠された本当の意味は
実際にカズねぇに会ったことのある人なら分かるはず!
そう、
「こんな一大事な時でも、相変わらず
カズねぇの○シャ○○は止まらなかった」ということだ。(爆)
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上流から見る粥見橋
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栃川橋とその下流側にある沈下橋
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栃川橋下流にある沈下橋を上流から眺める
左岸からポーテージ
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さて、このような美しい清流を
この時期になぜ、こうも優雅に漕ぎ下れるのだろうか?
ほとんどの河川ではこの時期、アユ漁が解禁になっているので
アユ釣り師に気を使い、竿を避けながら漕ぎ下らねばならない。
なのになぜ?
話によると、この区間はアユの放流区間に設定されていないらしい。
(もしくは禁漁区間に設定されているのかもしれない)
アユが少ない(釣れない)から、アユ釣り師も見かけないというわけか。
流れがあるので漕がなくても進んでくれる。
漕ぐ手をやすめ、椅子にもたれる。
何とは無しに空を仰ぎ、ただクルクルと流れる。
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下流から見る大渕橋
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下流から見る新高橋
右岸のたもとにある河原は、行楽客で賑わっていた
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ゴール地点の河原が見えてきた。
←朝は誰も居なかったこの河原
今はもう、行楽客で埋まっている!
こういう遊び場が身近にあるって、いいな。
行楽客の美味そうなBBQの香りを嗅ぎながら、舟を片付ける。
かずねぇは、地域のおじいさんと談笑。
おじいさんはボランティアで河原の掃除をしてるんだそうだ。
こういう人が居るということを、常に心の片隅に置いておこう。
荷物を積み込むと、僕らは香肌峡温泉・いいたかの湯へと向かった。
この温泉は道の駅・飯高に併設されている。
浴場は建物の造りが雄大で、隊長は大変気に入ってしまった!
心からくつろげる温泉だった。。。
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スーパーで買い出したあと、今宵の野宿地へ向かう。
カズケイさんの後をついていくと、川沿いの緑地広場へ辿り着いた。
←そこは広い草地でトイレもあるので、デイキャンパーで溢れかえっていた。
ふかふかの草の上にテントを張り、机の上に酒を並べる。
七輪の準備も進み、いい火加減になった。
「ふぅ〜」椅子に腰掛け、薄暗くなった広場を眺める。
「おっ、デイキャンパーも居なくなったな。」
辺りに静けさが漂う。。。
”今日で何度目だろう?”という乾杯のあと、肉汁が勢いよく蒸発した。
うぅ、煙い煙い。。。
隊長は、網の上で踊る牛肉をつつき
カズねぇは、ビールでふくれた隣人の”ぜい肉”をつついた。(爆)
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出会って3年目の3人は、もぅすっかり気兼ねのいらぬ間柄になっていた。
初対面の時は、カズねぇがまさかこんなによく喋るとは想像すら、、、
いや、まてよ。。。 よーく思い出してみたら
最初からよく喋ってたわ。 あっはっはっは!(^;^)
どしゃぶりの雨の中、脇町のパスタ屋「DEAR」に駆け込み
パスタを食いながら、けいにぃが10分くらい喋ったあと
かずねぇが2時間くらい喋り倒したなぁ。。。(笑)
そういやこの夜も、ここには書けないような事をいっぱい喋りましたねぇ。(^;^)
カズねぇ、もう忘れてるやろ? 教えたろか?
それは”カズねぇが如何に悪女だったか”という話や!(爆)
これ以上は、よう書きまへん。(汗)
かくして、3人の愉快な一日が終わった。。。
明日の”一之瀬川カヌーツーリング”が楽しみだ!
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