__________________28日_________________ |
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愛知県幡豆郡幡豆町の東幡豆(ひがしはず)海水浴場
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この日から僕の夏休みが始まる。
日頃行けない東海方面へ向かい、日頃会えない仲間達に出会う旅。
07年夏休みシリーズ第一弾は”三河湾の無人島でトンボさんとたわむれる”の巻き。
28日の朝、トンボさんが地元の仲間達と共に、隊長とカズケイさんを出迎えてくれた。
久しぶりに会うトンボさん、ホタルさん、ヤゴ兄さんは元気そうでなによりでした。(^;^)
本日目指すは、2キロ先の無人島”沖島”(猿ヶ島)だ!
隊長は、職人・トンボ翁の自作シーカヤックに乗り、
カズねぇとトンボさんはファルトボートに乗り、
ケイにぃとヤゴ兄さんはディンギーに乗って、穏やかな湾へと漕ぎ出した。
幡豆港を出た途端、大パノラマの海原がダダーン!と現れ、視界がいっきに広がる!
おてんとさまの日差しが「夏だぞ!」といわんばかりにふり注ぎ、
心地良い風が隊長の頬を撫でて行く。
「良かったぁ〜、イイお天気で本当に良かったぁ〜。。。」
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海の状態は大変穏やか、とは言うものの、大海原にポツンと浮かんでいる身にとっては
その波のひとつひとつが大きく感じられるもので、
フェリーに乗っている時には感じることのできない海の怖さを
ハッキリと感じ取ることができた。
僕達は押し寄せる波を割波し、一生懸命漕ぎ進んだ。
特にカズねぇとトンボさんは、小さなファルトボートでよく頑張ったと思う。
幸い、隊長がお借りした”トンボ翁の自作シーカヤック”は、大変安定している上に、
直進性も兼ね備えていた為、小さな力で大きく進むことができた。
横でヒッシで漕いでいるかずねぇが「たいちょー、ずるーい!」という視線を向けるほど
楽チンに進むシーカヤックだった。(^;^)
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ディンギーに乗って試行錯誤するヤゴ兄さんとケイにぃ
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シーカヤックの良さは、なんといってもこの大パノラマ感だ!
目前に広がる大海原。
普段、陸上では容易く見ることのできない、どこまでもどこまでも何も無い空間。
この目の前の地球に向かって、己の力だけで漕ぎ出す充実感。
「こんなちっぽけな僕にも冒険ができる!」
それがシーカヤックのすばらしさのひとつと言えるだろう。
ディンギーを初めて乗りこなすことになったヤゴ兄さんは
トンボさんからレクチャーを受けていた。
頭では理解しているものの、実際に操船するとなると難しそうだった。。。
同乗するケイにぃは、見るのも乗るのも初めて!
うまく島まで辿り着けるか、はたまた海上で漂流することになるのかは
すべてヤゴ兄さんの腕にかかっていた!(^;^)
隊長とカズねぇとトンボさんの3人は
漕ぐ手を休めると潮流に流されてしまう為、常に漕ぎ続けていたのだが
ふと振り返ると、ケイにぃ&ヤゴ兄のディンギーがいつのまにか
進路を外れてしまっていた。。。
我々3人は速度を落とし、彼らがやってくるのを待ってみたが
互いに見えなくなるほど離れてしまった為
沖島のひとつ手前の”前島”(うさぎ島)に上陸し、彼らが来るのを待つことにした。
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前島の小さな浜辺
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前島の浜辺に座り込み、ひと息つく。
穏やかな海を眺めながら、絶え間無く打ち寄せる波音に聞き入る。
しかし、それをかき消すように絶え間無く押し寄せるカズねぇのトークだった。。。(笑)
それからしばらく待ってみたが、ディンギーはやって来なかった。
そこで僕達3人は「まぁ、なんとかなるやろ」と、
じつにひとごとのようにつぶやき、再び沖島を目指すのだった。。。(爆)
しばらく漕ぐと、行く手に沖島の浜辺が見えてきた。
「よぉーし、あと少しだ!」と思ったその時
後方にディンギーがチラリと見えた。
風に乗ったディンギーは、グングンと追いついてくる! は、速い!
スゲぇ!ヤゴ兄もケイにぃもディンギーを乗りこなすなんて!
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でもよく見ると、さっきからディンギーの前を同じ間隔を保って走る水上バイクがいる。
しかも、ディンギーの帆は、結びヒモがほどけ、
”風をつかむ”というよりも、だらしなくたなびいているのだった。
「ひょ、ひょっとして!」と思ったその時
僕達3人の横を、”水上バイクに牽引されたディンギー”が追い越して行った。。。
その時のヤゴ兄さんとケイにぃのバツの悪そうな顔が今でも忘れられない。。。(笑)
僕達が漂流した場合に備え、トンボさんが仲間に声をかけておいてくれてたんだね。
いやぁ〜、よかった!よかった!(^;^)
沖島に辿り着いた我々は
トンボさんとその仲間達がセッティングしてくれたBBQテントの下で
生ビールと御馳走を頂いた。
にぎやかで豪華なBBQに酔いしれた昼下がりだった。。。
(ほんとに美味しかったです! 皆さん、ありがとうございました m(_ _)m )
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そういえばこの時、
生ビールサーバのパッキンが壊れていることに気づいた我々は
”あわや生ビールが飲めない!”という窮地におちいったのだった。
みんなは既に諦め顔だったのに対し、職人トンボさんの目だけは一人輝いていた!
彼はペットボトルのキャップを包丁で丁寧に切り細工し、
BBQコンロで熱した鉄の棒を押し当て整形し、
なんとパッキンの代替品を作り上げてしまった!
ビアサーバから勢いよく溢れ出るビールを目にした一同から歓声が上がった!
そしてこの時、我々にとってトンボさんは、もはや職人ではなく神となったのだった!
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沖島で思い思いに楽しむ面々
内地からたった2キロなのに、海水は
海水浴場と比べ格段に綺麗だった!
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満腹になったおなかをさすっていると、
トンボさんが”ディンギーでのプチクルージング”に誘ってくれた。
隊長は初めて乗るディンギーに胸躍らせながら前席についた。
トンボさんが後席で帆と舵を同時に操る。
程なくして風をつかんだディンギーは静かに加速し、海上を軽やかに駆け抜けた。
こんなに身近なものを動力にし、こんなにスピードが出るなんて!
古来からある乗り物(帆掛け舟)であるはずなのに、
それはまるで近未来の物語に出てくる乗り物のように感じた。。。
ディンギーは波の上を滑るように疾走した。
「こんなに楽チンに移動できるなんてスゴイ!」
隊長は初めて味わう感覚に驚嘆し、波のキラメキに酔いしれた。。。
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優雅なプチクルーズを楽しんでいた折り、
帆の下側のポールが急に ガコッ! と外れた。
慌ててポールを所定の位置に差し込んだはいいが
今度は帆を結んでいたヒモが解け、帆がバタバタと風にあおられる!
四苦八苦して帆の先のヒモを手繰り寄せた我々は、態勢を整えるため、一旦
目の前に見える前島へ上陸することにした。
ポールを固定し、ヒモを締め直す。
態勢を立て直した我々は、今度は沖島目指して帰ることにした。
しかしその波打ち際には、思いのほか大きな波が打ち寄せ白泡が舞い上がっていた。
打ちつける波に横を向いてしまうディンギー。
態勢を立て直し何度も出航を試みるが、
その度に波にあおられ倒れそうになるディンギー。
この繰り返しに疲れた我々は、休憩しながら波が落ち着くのを待った。。。
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そして、機を見てディンギーに乗り込んだ!
今度は波に打ち上げられる前に、持ってきていたパドルを漕いで岸から離れた。
これが功を奏し、沖に出た我々は
今度は風と進路の調整に難儀しながら(すべてトンボさんがしてくれた)
ほうぼうの体で沖島に帰り着いたのだった。。。
「ちょっとした漂流気分だったね」と二人で顔を見合わせて笑った。
今回もすべてトンボさんが操船してくれたのだが
トンボさんに会う度に、そのバイタリティー溢れる姿に驚かされるのだった。。。
陽が暮れる前に”お開き”となり、トンボさん達は帰路に着いた。
隊長とカズケイさんは沖島に残り、無人島キャンプを試みることになった。
ここから3人の無人島生活が始まる!
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まず、満潮時の波打ち際を想定してテントを張る。
(この島でテントが張れる場所は極めて限られていた)
次にメシの支度にとりかかる。
幸いなことに、トンボさん夫妻が炭と食料を大量に置いていってくれたおかげで
食事に苦労はしなかった。
明るいうちに火をおこし、3人で乾杯! 今夜は焼肉。
風が強かったせいか蚊がおらず、なんだか快適な無人島生活が送れそうだった。
そう、ただひとつの難点を除いては。。。
その、ひとつの難点とは、アリだった。
この島にはアリが多く、何をしていても次から次へとアリが這い上がってくる。
隊長はこういうストイックさには慣れているので
”ワンサカたかるハエに微動だにしないアフリカ原住民”のように
這い上がってくるアリに微動だにしなかった。
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しかし、華やかな街・大阪で何不自由なく暮らしているカズケイさんにとって
それは耐え難い存在だったようだ。
田舎育ちの隊長がじっと腰掛けている横で
二人は「わぁ、もぉおお〜!」と、じだんだを踏み
「ウガァーーー!」と、体のあちこちを振り払い、発狂寸前のようだった。(笑)
幼少期を徳島の田舎で過ごしたカズねぇは、途中からもう諦めることができた様子で
次第に落ち着きを取り戻していった。
ただ、華やかな街・大阪で生まれ、
煌びやかな街・大阪で何不自由なく暮らし、
艶やかな街・大阪で何の未練も無く骨を埋める覚悟のケイにぃは
このストイックな状況を受け入れることができず
翌日帰路に着くまで「コノヤロぉおおー!」と本気でアリと対峙していた。。。
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ごはんを食べ終わり、ふと辺りを見渡すと、夕焼け空になっていた。
ただ、焚火の灯りをじっと見つめる、。。
聞こえてくるのは潮騒と、ケイにぃのジタバタする音と、カズねぇのおしゃべりだけ。
「貝、食べてみない?」 ケイにぃが思い出したように言った。
そういえば昼に、ニシ貝をいくつか獲ってたんだっけ?
無類の貝好きであるケイにぃは、慣れた手つきで貝を焼き始めた。
そして一番最初に焼き上がった貝を「たいちょー、どうぞ!」と渡してくれるのだった。
隊長「この貝、ほんまにニシ貝やろなぁ〜?
かの魯山人は、貝にアタって死んだ、っていうからなぁ〜」
ケイにぃ「えっ、そうなん?
でもこの貝はトンボさんが食べられる貝や言うてたから大丈夫やで!」
隊長「じゃあ、カズねぇ、お先にどうぞ!どうぞ!」
カズねぇ「わたしゃ最後でいいよー、たいちょー食べな!
トンボさんも美味しい言うてたで〜!」
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食べやすいように身をヨウジでほじくり出して渡してくれるケイにぃ。
その優しさに観念した隊長は、恐る恐るクチへと運んだ。。。
「!!! う、、、うまいっ!」
醤油に付けなくとも海水が絶妙の味付けとなり、歯ごたえもいい。
アッサリしてる中にも、しっかりとした旨みがあり
なかなかどうして美味しいじゃないの〜!
”隊長が何ともないこと”を確認したカズケイさんは、安心して貝を食べ始めた。
あまりのうまさに、獲っておいたニシ貝をアッという間にむさぼり尽くした3人は
「こんなことならもっと獲っておくんだった」と後悔するのだった。。。
でも、たくさん獲ってはいけないものだと思うので
これくらいで丁度良かったのだろう。。。
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陽が落ちると、あっという間に真っ暗になった。
焚火の灯りだけがしみじみと揺らいでいる。。。
しばらくすると、対岸の街から花火が上がりだした。
どうやら今日は花火大会らしい。
3人は岩の上に腰掛け、酒を片手に花火観戦!
無人島から見る花火は、いつもとは違った趣があった。。。
そして花火大会が終わるまで、3人でしかできないような話で盛り上がり、
この日は珍しくケイにぃが話のエジキにされるのだった。(笑)
こうして楽しい無人島の夜は更けていった。。。
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__________________29日_________________ |
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翌朝、テントから這い出ると
ケイにぃが自失呆然とした状態で腰掛けていた。
どうやら昨夜、テントの中にまでアリが入ってきて眠れなかったようだ。
ケイにぃ「昨夜たいちょーが、
小野田寛郎さんはジャングルで寝ていた時、アリに鼓膜を食い破られ
肩耳が聞こえないんだよ!なんて話すもんだから
オチオチ眠れなかったじゃないかー!
オレはもう二度と無人島になんか来ない。。。」
チカラ無く語るケイにぃだった。。。
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朝食は焼きそば。 その前に食べたトマトがじつに美味しかった!
夏の朝、テントから這い出して食べる冷え冷えトマトはけっこうイケる!
ということを気づかせてくれたホタルさんに感謝。
今日は、トンボさんから4キロ東方にある梶島を勧められていたのだが
3人ともヘバッっていたので、沖島のまわりをグルリ一周することにした。
早朝の凪いだ海面を、お散歩するように楽しむ。
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キャンプ地に戻ってくると、今度はシュノケーリングを楽しむ。
美味しそうなニシ貝を見つけながら泳いでいると
急に小さなガザミが飛び出してきて威嚇される。
それはまるで「乱獲反対!」と言っているようだった。(笑)
内地から、たったの2キロ程なのに
こんなに豊かな自然環境が残っていると思うと、ちょっと嬉しかった。
沖島で遊び尽くした3人は、この日早々に引き上げることにした。
予想以上に遊び疲れてしまったからだ。。。
僕らは、トンボさんと船長に港まで送ってもらい、三河湾をあとにした。
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トンボさん一家とその仲間達には、貴重な体験をさせて頂き
本当にお世話になりました。
またいつの日か、お会いできる日を心待ちにしております。
特にトンボさんは体調が悪い中、出て来て頂いたり
無理を言って予定を変更してもらったりしてすいませんでした。
船長さんにもよろしくお伝えください。
本当にありがとうございました!m(_ _)m
無人島生活を送ることになったカズケイさん、
このたびは、二人に大変お世話になりました。
またどこかで貝をいっぱい食べましょうね〜! (^;^)/
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みんなと別れた後、「明日は豊川を漕いでみようかな〜?」と思った隊長は
豊川へ車を走らせた。
中流域の流れのある区間を漕ごうと思い豊川沿いを走ってみたのだが
この川は川へ降りる場所が少なく、たとえ見つけたとしても
谷底へ降りて行かねば川に近づけぬような所ばかりだった。
水量も少なく、川幅も狭く、やや渓流に近い印象を受けた。
そのぶん谷底に見える豊川は澄んでいてキレイだった。
川遊びにはうってつけの川だろう。
この日、野宿する予定だった桜渕自然公園は
駐車場から川へ降りるまでに距離があり
あいにくの行楽日和の為、川遊びに来た人々でごったがえしていた。
嫌気がさした隊長は豊川をあとにした。。。
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日暮れ前に、静かな道の駅”鳳来三河三石”に辿り着いた隊長は
そこでPキャンすることにした。
そして三河湾でのことを思い出してはニヤリとしつつ、眠り込むのだった。。。
07年夏休みシリーズ第2弾07-07-30気田川へと続く。。。 |