04-10-17 今切川(徳島県)


今切川(いまきれがわ)河口
うはうは隊には、たまに読者からメールが寄せられることがある。
それがきっけでメール交換し、仲良くして頂き、一緒に遊ぶこともたまにはある。

今回、一緒に釣りをして遊ぶ高橋さんとの出会いもそうでした。
高橋さんは現在、定年退職し、ハッピーリタイアメント暮らしです。
大好きな釣りをして過ごしているそうだ。
年齢が丁度、私の父と同じ位なので、
私は高橋さんのことを心の中でオヤジと呼ぶことにした。 オヤジといっても、
コギャルが中年男性に向けて発する、あのいまわしい意味あいのものではない。
山本譲二が北島三郎を呼ぶ時の意味あいの方だ。
 なぜ、心の中でオヤジと呼ぶのか?
もしクチに出して会話しているところを近所のおしゃべり主婦に聞かれて
「内縁の妻がいたのではないか?こんな大きな子供が他にいたなんて!?
 まぁ大変! ねぇねぇ、横田の奥様、知ってるぅ? 高橋さんとこの旦那さん、、、」
なんてことになっては大変迷惑な話だからだ。
最近の主婦は、ヨン様を見るためだけに韓国にまで行ってしまうほど強烈なのだから
あなどってはならないのです。はい。

   
旅先で知り合ったりHPを通じて知り合った見ず知らずの人と話をして面白いのは、その人達が私の知らない世界を持っているからです。
話をすると、「へぇ〜!」というような新発見があるからです。 高橋さんの時もそうでした。 「隊長はキビレは釣りますか?」と問われ、
「キビレ?なんだか魚市場で飛び交ってそうな名前だな? なんかごっつ品のイイ魚のなのではあるまいか?」と思い、早速調べてみた。
ううむ、なるほど、ヒレが黄色いチヌか。。。 えっ?チヌ? チヌなら釣ったことことあるぞ。 なんだよっ。 キビレっていうから全然違う魚を想像してたよ。
っていうか黄色いヒレをしてるから”キビレ”? そのまんまじゃん!(爆)
いや待てよ!このキビレという魚は”キチヌ”と言って、汽水域(河口や奥湾や湖)を好んで生息するらしい。全くの淡水でも生きられるらしい。
そうか、これはチヌにはできない芸当だ!しかも生息場所が限られているから希少価値があるように思える。
 実際、香川県(私のまわり)ではキビレについて今まで聞いたことがなかったし、何人かの釣り好きの友人に聞いてみたが、皆よくは知らなかった。
う〜ん、この希少性にはなんだか惹かれる。。。ここはひとつ、徳島に行って実際に釣ってみるしかないな!と思い始めた。
高橋さんも「隊長が釣ったことのない魚なら、釣りに来てはどうか?」と言ってたし。。。 「よし!高橋さんに会いに行こう!」
という訳で、高橋さんに無理を言って案内してもらうことになりました。

釣行当日、待ち合わせ場所へ心ウキウキで車を走らせる。
ただ気掛かりなのは、「今日は風が強い」ということ。

待ち合わせ場所で高橋さんと初対面。
大好きな親戚のおじさんに会っているような気がした。
高橋さんはこの日の為に
「私はこんな人ですよ」と自分の写真を送信してくれ
「私はこんな車に乗ってますよ」と車の写真まで丁寧に送信してくれました。
全て、私が迷わないようにという気配りからです。
こんなところにも高橋さんの優しさを感じました。

二人で今切川河口へ向かい、「今日は風が強いねぇ〜」と言いながら竿を出す。
私は、チヌ釣りを長い間してなかったので「どうしょ〜(不安)」と思いながら
ショボイ道具類を駆使してなんとか仕掛けを作り上げ、キビレに挑むことにした。

高橋さんのよく手入れされた道具類とビシッと決まった釣りスタイルの前では、私のこの身なりと道具が情けなく見えた。(泣)
「ふふんっ、要は腕さ!こんなショボイ道具でも、あ〜んな大きな魚を釣り上げてやるぜ!」と自分を励ましウキを飛ばす。
やる気とはウラハラに、投げた仕掛けが強風で押し返される。「ふふんっ、強風ごときでこの私がひれ伏すとでも思ってるのかっ!」
道具箱をゴソゴソあさり、仕掛けを自分なりに工夫してみる。 釣りをする前の段階でトロトロしている私を尻目に高橋さんがキビレを釣り上げた!
「おおぉ〜!どれどれ?キビレってどんなんや?」と駆け寄る。 なんてキレイな魚体だ!ヒレも噂どおり黄色い。全体的にすがすがしさを感じる。
 キビレを眺めながら、しきりに「へぇ〜。」を連発していた。 ますますやる気になり、仕掛けを工夫し直して投入!
しかし、強風の影響(本当は未熟な仕掛けのせい)で仕掛けが絡まったりしてうまくいかない。「ああでもない。こうでもない。」と仕掛けの工夫を繰り返す。

そんな私を尻目に高橋さんはやっぱり2匹目、3匹目をポンポンと釣り上げる。 「さすがだ! オヤジ、さすがだっ!」と尊敬のまなざしを向ける私。
「こんなにポンポンと釣れるのは珍しいよ。いつもはこんなことないんだけど、香川からお客さんが見えてるからサービスしてくれてるようだ。」と微笑む。
さすがだ!腕前だけでなく、ケンソンするその姿勢。気の利いた言葉。さすがオレのオヤジだっ!(←勝手にオレのオヤジにしてしまった:笑)
 オレも早くあのキレイな魚体をつかみたい! 今切川よ!高橋さんにサービスするのはいいが、ちったぁオレにもサービスしてくれ!
むしろオレにサービスすべきだ!だんだんムカついてきた。  仕掛けを投入し、ウキを凝視すること早10回。 やっぱり釣れない。
 軟弱な私はここで早くも”真剣釣りモード”を解除し、”のんびり釣りモード”に切り替える。 心の中で「今からのんびりしてヨシッ!」と号令をかけた。
こうなってはもう、好奇心にまかせてブラブラするしかない。早速、高橋さんの元へ駆け寄り話しかける。

高橋:「香川ではチヌはどんな釣り方をするの?」
隊長:「主にフカセ釣りかバクダン釣りですねぇ〜。
    昔は簡素な投げ釣りで頻繁に釣れてましたが、
    今はたいそうな仕掛けや高価なエサを使わないと釣れなくなりましたね。
    少なくともココみたいに浮き釣りで手軽にチヌが釣れるような場所は
    香川県には無いでしょうねぇ。。。」
高橋:「バクダン釣りはこっちではあまり見かけないねぇ〜。」

ひととおり話をして自分の場所へ戻り、竿を上げる。
「やべぇ、引っ掛けてもうたかな?」という手応え。でもリールはゆっくり回っている。
「ん?海藻を引っ掛けたのか?」と思った瞬間、何か白いものが見えた。
「あっ!なんか掛かっとる!なんや?なんや?」 ドキドキしながら引き寄せる。
小さいながらも、ちゃんとしたキビレだった!
「やったぁ〜!初めて釣ったキビレや!うれし〜い!」
竿をほったらかしにしておいたせいで、ハリを思いっきり飲み込まれてた。(笑)

いつもは、ベタベタするから素手で魚を掴んだりはしないのだが、この時ばかりはギュッと掴んだね。(^;^)
ドラマでよく、彼氏にギュッと抱きしめられた女性が「○○くん、苦しいよ。(喜)」という場面がありますが、
このキビレもまた「たいちょー、苦しいよ。」と言ってる気がした。 ただ、ドラマと違うところは、言葉の最後が(喜)マークなのに対し、
この時のキビレは間違い無く(怒)マークだったということ。 そして本当に苦しんでいたということ。。。
 1匹釣れると俄然やる気が湧いてくるというもの。
私は即座に”のんびり釣りモード”から”真剣釣りモード”に切り替え、心の中で「今から真剣に釣りを遂行せよっ!」と号令をかけた。
 途中、高橋さんに玉ウキをかして貰うことになり、装着して投げてみると簡単に遠くまで飛んだから驚いた!
「なんだ?この玉ウキ。ドングリみたいな形してるくせに結構やるじゃねぇか!」 今まで玉ウキを使ったことがない私にとって、これは意外な発見だった!
強風の時は特に、風の抵抗が少ないぶん遠投できる。しかも仕掛けと、もつれることが少ない。 「これで今日はもらったな!(キラッ)」
 と思い始めて早1時間が経過。 やっぱり釣れない。
よく考えてみると、先程釣れたのも”のんびり釣りモード”で、なおかつ竿をほったらかしにしていての事。「まぐれ」だったのだ。。。(悲)

潮も引いてしまったようなので、ここらで昼食にすることにした。
二人とも、買ってきた弁当をひろげ、ビールで乾杯!
 この時も相変わらず風は強かったのですが、
高橋さんがわざわざ風よけになる場所を探してくれたおかげで、
暖かい陽光の下でのんびりお弁当を食べることができました。
オヤジの心配りに感謝!
 この時はお互いに他愛も無い話をしていたので、
何を話したのかはもう覚えていない。 ただ、高橋さんは初対面だったので
「この人、お酒が入って人が変わったりしないだろうな?」
と心配したのだけは覚えている。(笑)

高橋さんは、磯にも釣りに出かける元気な方です。
ちゃんとその磯の本まで持っていて研究熱心さが伺えました。
私とはえらい違いだ!(爆)

昼食を終えると早速釣り場へ戻って釣りを始める高橋さん。
潮の低さにもめげず、「どんな状況であれ釣ってやる!」
という意気込みが感じられた。
というよりなにより、釣りそのものが好きなんでしょうね。ほんとうに。(^;^)

黙々と釣る高橋さん
私は高所恐怖症なので、けっしてこんな態勢はできない。
堤防の上に座る時も、心持ち重心は半分より後です。
なんか変な力が入ってしまうのだ。
ゆえに岸壁から真下を見るのは苦手なのである。


河の向うには工業地帯が広がっている。 大きな河口だ。
 しかしこの場所は時間がゆったりと流れているなぁ。
聞こえてくるのは、風の音と、河向うの学校で行われている運動会の放送。
視界が開けていると、こんなにもゆったりとした気持ちになるんだな。。。
 ここは結構釣りやすい場所だし、なんだか落ち着く。 うん。気に入った!
人通りもまばらで、その大半は老人。目が合うとみんな話しかけてくれる。
 中にはチャリンコで暇つぶしに通りかかった大学生らしき3人組がいて、
彼等が「何が釣れるのですか?」って聞くものだから、ついつい
「キビレっていう魚。チヌなんだけどヒレの黄色いチヌなんだ。」と力説してしまった。
 さらに、「けっこう釣れるんですか?」と聞くので、
「オレはまだ1匹なんだけど、あのおいさんは結構釣ってるよ」と答えた。
「そうですか、じゃあ頑張って下さい。」と言うので、一瞬、
”頑張ってどうにかなるもんでもないから、オレはもう頑張らないのさ”と思ったが
クチに出たのは「あぁ、ありがとう。頑張るよ。」という言葉と、照れ笑いだった。。。






ここでは外道として、シマイサキの小さいやつとか
←このような小さいセイゴ(スズキの幼魚)が釣れた。
この日は、仕掛けを引いてくるたびに、セイゴのアタックを受けた。
そのうちハリに掛かったのは3匹程度でしたが、これだけでも充分楽しめた。
 高橋さんいわく
「いつもはこの外道達が多くて、キビレが食う前にコイツらが食ってしまうんだけど
 今日は少ない方だ。今日くらいだと釣りやすいな。」ということでした。

私の友人が言ってたことを思い出した。
「スズキは、シーバスとも呼ばれるが、それって「海のバス」ってことだよね。
 ”海にいるブラックバスに似たもの”(ブラックバスが元祖)みたいな言い方だよね。
 しかし、実はスズキが日本の固有種(日本に元々居た)で、
 ブラックバスは移入種(日本に元々居なかった)なのだから
 どちらかと言えば、ブラックバスのことを「沼スズキ」って呼べばいいのに。」と。。。
そこで私は思った。
きっと、「シーバス」という方が、なんだかカッコイイからであろう、と。
「沼スズキ」って呼ぶくらいなら「ブラックバス」の方がカッコイイし、と。
日本人(特に若者)は、この”なんだかカッコイイ”に弱いのだ、と。。。

さて、昼を過ぎてもなかなか潮が満ちて来ないので、どうしようかな〜?(口笛を吹きながら) などと考えていると、むこうの方から
また先程の学生達が、また同じようにチャリンコでやって来くるのが見えた。
今度は人数が4人に増えている。しかも私の方をめがけて一直線にやって来るではないか! なんだ、なんだ?
 彼等は大学生なので、ひょっとしたらこの短時間でキビレについて調査し、論文を書き上げ、私に報告をしにやってきているのではないだろうか?
そして「キビレの和名はキチヌといって、かくかくしかじかで、アンタの言ってたキビレっていうのは呼び方だ!」とか
「水深何メールのところに住み、○○を食べるから、そんな場所じゃダメだ。もっと遠くまで飛ばさなきゃ!それに今日は水温が低すぎる!」
などと言われるのではないだろうか?とドキドキして目を合わさないようにしていると、そばで自転車がキキーッと止まった。
 仕方ないので振り向くと、「どうですか?釣れますか?」と微笑んでいるではないかっ!
これはきっと、これから始まる論文発表の前の不適な笑みなのであろう。
 「あれからオレは1匹も釣れてないよ。」と言うと、すかさず「そうですかぁ?エサは何を使っているのですか?」と聞いてきた。
きた、きたー!やっぱりだ!オレの使っているエサを知って彼等は「そのエサより○○をエサにする方がいいですよ。今は活性が低いですから。それに〜」
と、自分の論をまくし立てるのであろう。
 「ええと、エサはねぇ、、、」と言いかけて思い出した。そういえばこのエサは高橋さんが買ってきてくれたものなのだ。
呼び方は地方で変わるだろうが、”ゴカイの大きいやつ”とでもいえば分かるかな?と思案していると、意外な言葉が耳に飛び込んできた!

「ミミズですかぁ〜?」 思わず「はぁ?」と聞き返してしまった。 でも彼は動じずに「エサはミミズですか?」と問い掛けるのだった。
よく見ると、みんな手に手に竿を持っていた。 思わず「アレッ、みんな釣りするの?」と聞いた、
「はい、あんまりやったことないんですけど、暇やから釣りでもするか!ってなことになって。。。でも、どうしてよいのか分からなくて。えへへ。」
まわりの3人も同じく「えへへ」という顔をしていた。
 はっはーん、コイツら素人やな?(かと言って、オレもプロではないが)
なんぼなんでも、海釣りを知ってる奴は「エサはミミズですか?」なんて聞きはしない。
たしかに、エサとして使えんこともないだろうがミミズて、君。 拍子抜けしちまったよ。
 で、さらによくみると、彼等の竿はみんな短いバスロッドタイプだった。
なるほど。彼等はあまり生餌を使ったことがないのだろう。 川釣りでミミズを使ったことがあるくらいなんだろうな。
こりゃあ、あまりにも初歩的なところから説明せないかんのかなぁ?と少し戸惑う。



ヒレが黄色いから黄チヌ。 これと同じような理由で
キハダマグロ・キダイ・キビレカワハギ・キビレマツカサという魚もいる。

隊長:「エサはゴカイっていうミミズみたいなもんや。(得意げ)
    ほら、こんなやつや。でもミミズとは全然ちゃうで!」
学生:「はぁ。。。(いまいちピンとこない表情)
     それは釣具屋に行けば買えるんですよね?」
隊長:「うん。釣具屋でゴカイください!って言えば売ってくれるよ。
    何ゴカイ?って聞かれたら赤か青のどちらか言えばいい。
    今、この辺ではどんな魚をどんな仕掛けで釣ればいいのか?など
    店の人に相談すれば教えてもらえるはずだよ。」
学生:「そうですかぁ。 釣具屋かぁ。。。
     あのぉ、すいません。この辺に釣具屋ってありますか?」
私はこの土地に来たのが初めてなので、慌てて高橋さんに教えてもらう。
すると、学生のうちの一人がその店を知っていたようで
「じゃあ、とりあえず行って来ます。ありがとうございました。」と去って行った。
 「ふぅ〜。」 額の汗を拭きながら高橋さんに歩み寄る。
「あの子ら、ビックリするわ!ほんまに。 エサはミミズですか?だって。(笑)」
「まぁ、みんな最初はあんなかったんじゃないの?」
高橋さんは穏やかな表情で海を見つめていた。
「それもそうだな。。。」



全部、刺身にしちゃった!
けっこう甘い、とろけるタッチなお味でした。
そうそう、いい機会だから教えておこう。
刺身は自分好みの刺身醤油を使うと、より一層おいしく食べれるよ。
スーパーで買った刺身も、旨さ倍増です!
私の場合、高知産の、とある刺身醤油です。(^;^)
帰宅途中、どうしても誰かにキビレを釣ったことを自慢したくなり
川竹隊員の家に寄った。
そして、これでもか!というぐらい自慢し
1匹もおすそわけすることなく全部家に持ち帰り
全て自分で食ってしまう、という意地汚い隊長であった!わっはっは!

来年の春、また高橋さんとキビレを釣る楽しみができたなぁ!と
高橋さんに貰った玉ウキを眺めながらニヤニヤするのだった。。。
そうだ!来年は高橋さんをカヌーにのせよう!ふっふっふ。


あとで高橋さんに教えてもらったのですが
徳島県は年間を通して風の強い日が多いそうです。
だから、県外から徳島へ来て暮らすことになった学生などにアンケートをとると
”徳島は風が強い”という印象が常にトップにランクされるそうです。






  

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