____________________前日___________________ |
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隊長は以前から考えていた。
「ゴールデンウィークがらみの長期休暇を使って、九州の川を漕ぎたいなぁ〜」と。。。
だけど細かいところまでリサーチしたわけではなく、ただ漠然と考えていた。。。 そんな折り、のりさんからメールが届いた。
のりさん「今年のGWは海部川やなぁ。楽しみ楽しみ。 その前に4/27の月曜からGWにかけて九州へ上陸しようではないかっ!
ここらで一発、隊長とバイク部長の根性を見せつけてやろうではないかっ!」
うん、面白そうだな。 そういえば隊長とノリさんは、まだ二人だけで旅したことがなかったな。
よしっ、今回は”九州・オッサン二人旅”といこう!(むさくるしいなー:爆)
すぐに返信。
隊長「オッケー! 明日、上司に有給休暇を叩きつけておくよ!(^;^)」
4/26(日曜)の夕方、待ち合わせ場所である”愛媛県大洲市を流れる肱川のほとり”へと向かう。
(今夜この川のほとりに集結し、翌朝早いフェリーで九州へ渡る計画だ)
あと10分ほどで到着しそうな頃、ノリさんから電話が入った。
ノリさん「たいちょー、、、今、どこぉ? オレ、もう着いてんけどぉ。。。」 すでに声が沈んでいる!
それもそのはず、つい先ほどから雨が降り出していたからだ。こんな雨の中、高速をブッ飛ばしてくるのは体力的にも精神的にもキツかっただろう。
だけどノリさん、アンタどんだけ雨男やねん!(愛媛に入ってから急に雨降ってきたし。。。)
隊長「あともう少しで着くから待っといてー。」 電話を切ると、雨でテンションが下がりきったノリさんの冴えない顔が思い浮かんだ。。。 |
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しばらくして待ち合わせ場所に着くと、
荷物を背負ったバイクと、新調したGベストを羽織った男がたたずんでいた。
その気合いの入った身成りとは対照的に、その男の顔は雨で消沈していた。。。
この日はやけに寒かったからそれもやむなし。よくここまで走ってきたものだ。
ノリさんの労をねぎらっていると、雨はすぐに上がった。
(というか、隊長の到着と伴に雨は上がった。^:^)
二人は淡々とテントを張り、寝床の準備も整え終わると
なぜか二人して立ち並び、その向こうに見える看板を、揃って凝視していた。
ノリさん「やっぱ気になるよなぁ〜、あの看板。。。」
隊長「あぁ、昨年の肱川ツーリングの時から気になってた。。。」
二人の視線の先には、大きく「うなぎ」と書かれた看板が光り輝いていた。
そして次の瞬間にはもう、二人ともその看板めがけて歩き出していた。。。
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川魚料理屋「なかつか」の古びた座敷に通され、注文を済ませる。
隊長「なんだかこの部屋、時間が止まってるような雰囲気だね。」
ノリさん「おー、なかなかのもんやなぁ。ウナギの値段もなかなかのもんやったし。」
しばらくして、ビールジョッキと”うな重コース”が配膳された。
1人前・約3千円の御馳走を前に、二人旅の前途を祝って乾杯!(ガチャ)
ノリさん「ゴク、ゴク、ゴクッ。 ぷへっ、 あぁーーーうまいっ!」
隊長「うなぎの皮の焼き加減も最高やなぁ〜。」
ノリさん「ほんまサイコー!やな。
しかしなんで、よりによってまたこんなオッサンと一緒やねん!
なんでこんなオッサンとこれから10日間も一緒に旅せなあかんねん!
はははははーーー!」
隊長「そんなん、オレやっておんなじじゃ!
なんでこんな四十越えたオッサンと一緒にっ!はははははーーー!」
おなかが満たされ、すっかりテンションを取り戻した二人は
このあと臥龍温泉で疲れを癒し、野宿地へと戻った。
隊長は、明日から始まる九州ツーリングに向けて心踊る思いで床についた。
ただひとつだけ心配だったのは、明日6:20八幡浜港発のフェリーに乗るために
朝5時に起きなければならない事であった。
あのノリさんが朝5時キッカリに起きられるわけがない!
それに、テキパキとテントを畳んだり、迅速に荷造りができるとも思えない。
明日僕らは、予定の船に乗れるのだろうか。。。 |
____________________27日___________________ |
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翌朝、隊長は朝5時には起床し、テキパキと荷造りを済ませた。(っていうか荷物を無造作に車に放り込んだだけ)
そして10分が過ぎた頃、まったく動きが見られない隣のテントに声をかけてみる。
隊長「おーい、もう10分過ぎたぞぉー! 起きとんのかぁー?」
ノリさん「うっ、ううぅ〜、、、起きてるでぇ〜。。。」 絶対に今起きたところだろっ!
このあとノリさんは”ほんとに出航時間に間に合うのか?”というようなペースで荷造りを行い
「ごめんなぁ〜、もうちょっと待ってなぁ〜」を繰り返した。(^:^) そしてなんとか準備を済ませ、時計を見ると5時45分だった。
ノリさん、あんた昨日「5時半に出れば大丈夫やろ」と言ってたね。。。 二人は慌てて野宿地をあとにした。(汗)
走り出してすぐの曲がり角で、隊長はノリさんのバイクを見失った。 昨日「うしろついて行くきんなー」って言ったのに、あのオッサンはもぉーーー!
しかたなく標識を頼りに197号線を目指して走る。 なんか変な裏道を抜けると、いきなり広い道路に出た!
「おっ、やったね!たぶんこれだね。」 197号線に乗り、港を目指して走ろうかという時、バックミラーにバイクの一灯(HIDランプ)が見えた。
”ひょっとしてあの停車している明るいライトはノリさん?オレがなかなか来ないから待ってるのかな?”と思った次の瞬間
そのバイクの頭上に!マークが浮かんだ。どうやら向こうでも”突如現れた緑色の車”に気付いたようだ。
そしてすぐに「テメェー!そんなとっから出てくんじゃねー!」というような勢いで追いつき、一瞬にしてまた遙か前方へ消え去っていった。。。
”ちっきしょー、あのオッサン、オレを先導していく気はないようだな!” しかたなく八幡浜港の案内板を頼りに進む隊長であった。。。
その間、街中の信号という信号にほとんど引っかかり、時間が益々なくなっていった。 しかしなぜか”乗り遅れる”という不安はなかった。
ノリさんのあのスピードなら、先に着いて船を引き留めておいてくれるだろう。。。(^:^) |
はい、九州上陸ぅ〜!
(水曜どうでしょう風)
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その後、ギリギリ港にたどり着き、無事乗船することができた。(^:^)
先に乗船しカーペットスペースでくつろいでいるノリさんを発見!
隊長「昨日、うしろついて行くな、って言うたやろ!もぉー、忘れやがって。」
ノリさん「ちゃうやん!昨夜”八幡浜港へはココを右”っていう看板を二人で見て
ココを右折やなぁ言うて話してたやんけ!忘れてんのはオマエだろっ!」
隊長「ハッ、そうやった!(恥) ごめんごめん!」
ノリさん「たいちょーが来るの遅せーから受付のオヤジに
”あと1台緑色したボロッボロの車が来るから船出すの待っといてな”
って言わなあかんし、ほんま世話のやけるやっちゃのぉー!」
隊長「ボロは余計じゃっ!」
このあと船室で寝転がったり、地図を開いて談笑したり、
世間話などをしているうちに約3時間で別府港に到着。
船窓から、モクモクと湯気の立ち昇る別府の街が見え
いよいよ九州に来たのだなと思った。
船を降りた二人は意気揚々と、”山奥の秘湯”めざして走り出した!
途中コンビニで朝食を摂りながら、
途中パラパラと降り出した小雨に眉をしかめながら、
途中山道を一本間違えながら
どうにかこうにかたどり着いたその場所は緑豊かな渓谷だった。。。 |
狭いスペースに停車したあと、手拭いを肩にかけ、渓流へと下りていく。 すると樹木の間から、ひなびた脱衣所と立ち昇る湯気が見えてきた。
隊長「おぉー!イイかんじの温泉じゃん!」
ノリさん「ほほぉー!これはまた雰囲気がありますなぁー!」
湯船は段々に3つあり、温泉と冷水が丁度良い加減でひかれていた。
その無色透明なお湯に映る渓谷美。それはまさに日本情緒あふれる秘湯であった! |
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この秘湯は”ヘビん湯”と呼ばれており、災害により一時使えなくなったが
地元の愛好家達の手によって復活し使用できるようになったそうだ
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この秘湯を維持されている方々に感謝しながら浸かる。。。
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朝っぱらから贅沢な時間を過ごした二人のオッサンは、のぼせ気味の頭のまま今度は大分県佐伯市を流れる番匠川を目指して走り出す。
平凡な主要道よりもマニアックな山道を走る方が好きなノリさんについて走る。
細く、急な上り坂をクネクネと延々走り続け、ようやく下り坂になった山道をまた延々と走り抜け、昼前に番匠川沿いの道へと出た。
ここから川の下見を兼ねながら下流へと向かう。
そして”小半鍾乳洞”の辺りまで来た時、丁度おなかがすいていたので近くの”大水車の郷”にある「水車茶屋・なのはな」でお昼ごはんを食べることにした。
この”大水車の郷”には元日本一大きな水車があり、ロッジも併設されていた。 眼前には美しい番匠川が流れており、水遊びにはピッタリの雰囲気だった。
このひとつ上流側にある小半鍾乳洞付近には、カヌーを出艇できそうな場所がいくつかあるので、この辺りからスタートする予定でいたのだが
この時の水位がめっちゃ少なかった。(涙) ファルトで下る我々にとって不都合な真実がそこにあった。。。 |
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ノリさん「水が少ないなぁ〜!こりゃちょっとしんどいぞ。」
隊長「そやなぁ、景色はめっちゃエエけどフォールディングカヌーじゃキツいな。
明日はもうちょっと下流の方からスタートしような。。。」
という訳で、このあと二人は番匠川をなめるように下見していった。
番匠大橋の上流側にあるいくつかの河川公園には”車止め”がしてあり
車のまま進入できるエリアは限られていた。 そこで思案した結果
我々は”小田井堰”右岸にある平地を野宿地兼ゴール地点と決めた。
明日は”一矢返の沈下橋”からここまで下ってこよう!
テント設営を済ませた二人は
”道の駅やよい”に併設されている”やよいの湯”に浸かったあと
近くのショッピングセンターへと向かった。このショッピングセンターは
国道217号線から県道36号線へ車を走らせ500mほど走ったところにあり
他にもさまざまな商業施設が隣接しており
ちょっとしたショッピングタウンになっていた。
ショッピングセンターの食材コーナーまで来ると
のりさんは今日一日走り疲れたようで
「今日は惣菜とカップうどんでいいよね?」と言った。
今回はノリさんの愛妻が居ないので
”オッサン一人の為に手料理などしんどいわ”といったところか?
これから長旅が続くので隊長は迷わず「うん、そうしよう!」と返した。
しかしさすが佐伯!海が近いとあって惣菜コーナーは海の幸で充実していた。
キャンプ地に戻り、さっそく箸をつける。 |
野宿地 兼 ゴール地点
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隊長「この宮崎牛の握り寿司、、、うっ、うめぇー!
ついに宮崎まで来たんだなぁーっていう味がするわ!」
ノリさん「んっ!ほんまや!うまいなこれ。
でもココは宮崎やのぉて大分やけどな。。。(失笑)」
隊長「しかしこの”生ハムの握り寿司”は余計やったな。
生ハムは生ハムオンリーで食った方がうまいな。。。」
(生ハムのニギリを、”生ハム”と”握り(米)”に解体して食べる隊長)
ノリさん「せやからオレは買う時に”やめとけ”って言うたやろ!このガンコ隊長め。
そんなん買うくらいやったら
この”宮崎牛のニギリ”を買い足した方が絶対に良かったで!」
隊長「うそーん!”やめとけ”なんて聞いてないでー!
そんな忠告はもっと早よう言うてもらわんとー!食ったあとで言うなよ!」
ノリさん「なんでやっ!オレ”宮崎牛の握り8個入”を手にして言うた、っちゅうねん!
お前、ほんまにボケてきてんのちゃうかぁー!?
このオッサンはほんまにも (ビリッ) うわあっ!」 |
野宿地のすぐそにある階段状の護岸
おかげでカヌーを上げ易かった
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椅子から後方へもんどりうってひっくり返りそうになるノリさん!
なんとか片手をついて、もう一方の手の寿司は死守した。
隊長「何してんの!?」
ノリさん「あぁ〜、、、ついに壊れてもぅたかぁ〜。。。」
三脚型ミニチェアの布が一部破れ、もう座ってられない状態になっていた。
ノリさん「ちっ、やっぱ安もんやのぉ〜!」
隊長「いやいや、許容重量を越えたせいやろ!そのミニチェアよう頑張ってたで。」
ノリさん「480円やったからや。もう寿命やったんや。」
隊長「いやいやいや、人の話聞いてんのか? 許容重量を越えたからやって!
寿命ちゃうって。 オッサン最近食いすぎてんちゃうかっ!?」
ノリさん「違う!っつーに。 もう寿命やってん!」
隊長「オッサン、体が大きなったんやきん、椅子も大きいやつを買いなさい。」
ノリさん「バイクにそんな大きなもの乗せられへんやろがー!
それにこの三脚型ミニチェアの方が使い勝手がいいのよ。
料理する時の座高が高すぎず低すぎず、前に屈みやすいのよ。」
隊長「だったらもうちょっと痩せろやっ!」
ノリさん「。。。。。。。
あ〜、それにしてもカップうどんを食ってる最中でなくて良かったわ〜。」
隊長「人の話聞いてんのかぁ? オッサン!」
ノリさん「うるさいっ!オッサンがオッサンのくせしてオッサンオッサン言うな!
エラそーにヒジ受け付きの大きな椅子に座りやがってぇー!」
隊長「エラそーに大きな椅子に座ってるんとちゃうで。
車に積めるから大きな椅子に座ってんねん。
あっ、なに? そんなに羨ましいのなら座らしてあげてもええで。」
ノリさん「。。。。。 ふんっ!
オッサンの椅子に座るくらいなら地ベタに座る方がマシや!
しかし地ベタに座るなんて久しぶりやわぁ〜
岡本っちゃんとのバイク旅以来ちゃうかなぁ。。。」
このあと二人は、思ってたよりも冷たい風が吹きつける九州に
”話が違うじゃないかっ!”と嘆きつつ、次第にクチ数も減ってゆき、
夜をもて余した格好でテントの中へもぐりこんだ。。。
”九州おっさん二人旅”は翌日の番匠川カヌーツーリングへと続く。。。 |