めちゃめちゃ暑かった今年の夏の暑さも、やっと和らいだ9月中旬。
「そろそろ”大井川でリベンジ漕ぎ”でもしとくっぺ。」と、鼻息荒く静岡へ遠征することになった。
休日前夜から大阪のカズ&ケイさんちに寄り、そこからカズ&ケイさんの車に同乗させてもらい静岡を目指す。
ケイにぃと隊長で運転を交代しつつ夜通し進むという”遠征時のフォーメーション”で行こう!と思っていたのだが
この日のケイにぃはいつになく目をランランと輝かせ、一度も交代することなく静岡までブッ飛ばした。
まだまだ若い(元気だ)なー、ケイにぃは。。。(^;^)
そして金曜の深夜26時。 まっくらで姿が見えない大井川のほとりに到着。
川音を聞きながら「水量はどうだろう?濁ってないだろうか?」と想像を膨らませつつ、その場ですぐに就寝。。。
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____________________18日___________________ |
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翌朝18日。
テントから出て見上げると、いい天気。 胸を弾ませながら、まだ見ぬ川へと急ぎ歩く。
「おっとぉ!」 川はちょうど”増水が引いてきた頃”で、歓喜するほどでもないが落胆するほどでもない色をしている。
”まずくはないが、うまくもない喫茶店”のようだ。。。(←ますます解りにくい。汗)
「水が少なくて歩きたおすことになる」という訳でもなさそうだ。 ホッとして元来た道を戻る。
(あの苦々しい日のリベンジにやって来たわけだが、この頃にはもうすっかりリベンジという言葉さえ忘れてしまっていた)
車中泊のカズ&ケイさんの車は、相変わらず息を潜めている。
静かだなぁー。。。 放っておいたらいつまでも寝続けるんだろうなぁーーー。。。
しばらくそのままにしておいて、隊長は川辺でひとりぼっさぁーーーとでもするか。 と思い、再び川へ向かって歩き出す。
と、その時、、、 向こうの坂道を下りてくる濃緑ジムニーが見えた! 「あれっ? サスケ氏!? 意外に速く着いたんだな。(^;^)」 |
川根両国駅の近くにある吊橋
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その濃緑ジムニーは、カズケイさんの車のそばまで来てズズっと停車した。
相変わらず小憎らしい顔をした(←隊長観)サスケ氏が下りて来る。
そして氏はまたいつものように威圧的な姿勢で(←隊長観)
ノシノシと近づいて来て「やあ!」と言った。
腹立たしいのは、この”やあ!”がじつにすがすがしいところだ。
どんなに悪態をつかれ、”忌々しい忍びめ!”と思っていても
彼の「やあ!」はそれをすべて水に流せるくらいの清々しさを持っているのだった。。。
豪快にドアをしめるサスケ氏。 バンッ!
その音で目覚めたケイにぃが車からヨロヨロと下りてきた。
「おはようございまぁす。。。」トロンとした目で言うとケイにぃは
そのまま「おしっこ。おしっこ。。。」と呟きながら歩き去った。
そんなゆるみきったダンナとは違い、カズねぇはというと、、、
女性の朝の身だしなみを整え、シャキシャキっとした表情で下りてきた。
しかも朝からすごいテンションだ!(これはこれで困る:爆)
サスケ氏との再会の嬉しさに舌好調のカズねぇを、ほどよいタイミングで制し
スタート地点となる大井川鉄道・奥泉駅の対岸へと向かう。
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↓ツーレポに載ってない詳細・写真有り↓
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両国橋よりも上流域は水が少ないらしいので心配していたが、車から覗くと
増水後のせいか?インフレータブルカヌー(ダッキー)ならなんとか下れそうだった。
奥泉駅近くのアスファルト道からそれ、野良道をゆっくりと下りてゆくと
意外に広い平地へと出た!
しかしその平地からは、ブッシュに遮られて川が見えない。
停車後、”川があるであろう方向”へと歩き出す4人。
かすかに残ったわだちを頼りに歩いてゆくと
今度は大きな石がゴロゴロと転がったゴロタ場が続いていた。
その上をピョンピョンとつたいながら進み、川のほとりに近づく。
そして”胸の高さまで伸びた草木”を掻き分けると、やっと川が見えた。
「うっ!」 思わず声を漏らす隊長。
そこには、白濁した浅いトロ場が広がっていた。。。
「なるほど、、、 ダム下だけのことはある。」
見なかったことにして出艇の準備に入る。
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各々ちらばって舟を膨らませ、防水バッグに荷物を入れる。
そして準備が整い終わると、4人はまた自然と集まった。
「さて、、、車を1台ゴール地点へ置きに行きましょうか。」というところで
サスケ氏が驚いた表情で言った。
サスケ氏「えっ!? 隊長、ひょっとしてその格好で下るの?」
隊長「えっ!? なんで?」(驚いたのはこっちの方だ!)
サスケ氏「なんだオマエ、その格好は!?
薄っすい薄っすいシャツに短パンかよ!
なのに頭にだけはヘルメットかよ。 テメェ、川をナメてんのかっ!」
隊長「ぜんぜん。(ナメてませんよ ^;^)
今日はずっと晴れるだろうという予測のもとTシャツなんだよ。
寒くなった時用の上着はドライバッグに入れてあるし
沈した時用の着替えも入れてあるしな。
ヘルメットをかぶったのは、ここへ来る道中
川を見たところ浅そうで岩もゴツゴツ出てたからさ。」
サスケ氏「今日こそ、ヘルメットは要らないんじゃね?
まぁ、それはいいとして、 サンダルって。。。汗」 |
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隊長「これは譲れないね。
皆のようにブーツを履いてカヤッカーになるのが本当だろう。
だけどオレは、川の上では”ジャーニー”でありたいのだ!」
サスケ氏「何言うてんのかサッパリ分からん!
さぁカズケイさん、こんなヤツに構わずに行きましょう!行きましょう!」
車の回送を終え、、、
ようやくこの白湯スープのような川へカヌーを浮かべる。
たしか、その先の橋の下に瀬があったなぁ。
浅いから岩にひっかからないように慎重に進もう。。。
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サワァー、ザブザブ、ザパァーン!
よしよし、今日はもう大丈夫だ!
隊長が沈する時は、決まって”スタート直後の瀬”と相場が決まっている。
それをしのいだとあれば、あとはもう間違いない!
わっはっはー!ドンと来い、大井川よ!
あの日漕げなかったウップンを今日晴らすのだ!
緑濃い山間部を、静かに、、、そして時には荒々しく流れてゆく。
まるで造成されたかのような”超まっすぐな早瀬”では
コースター気分であっという間に流される。
「今んとこオモシロかったなー。もう一回行きたいなー!」
なごり惜しそうにコースター早瀬を振り返る。。。
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浅くて底石がカヌーにゴンゴン当たるような瀬では
サスケ氏を先に行かせ、彼のあとをなぞるように下る。(安全策^;^)
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川を下っていると、日本庭園を彷彿とさせる景観を目にする時がある。
(日本庭園は自然を模して造るから、この景観の方が本家なんだけどね)
ここ大井川でも「えっ!これ、自然に出来たの!?」という景観が見られた。
しかしそういう美しい場所も、見る角度によって趣が大きく変化する。
「あっ、この景色めちゃキレイ!」と思い
慌ててカメラを取り出すが、構えた時にはもう何メートルか流されており
ファインダーから覗くその景色にはもう”最初の瞬間のキラメキ”が無くなっていたりする。
あの瞬間にしか出会えないキラメキ!
あれが和のワビ・サビというやつなのだろうか。。。
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このように川下りは、どこかしら人生に似ている。
あの瞬間出会った美景はもう取り戻せないし、
山あり(トロあり)、谷あり(瀬あり)なのだ。
学生時代にやりたい事が見つからずに悶えていた頃は
どこを見渡してもコレというものが見当たらない
先の見えないトロ場を漕いでいるようなもので、
気が滅入るような困難のさなかに居る時というのは
瀬の中を漕いでいるようなものでもある。
その瀬にも、荒瀬・平瀬・早瀬・チャラ瀬などがあるように
人生における困難にも様々な種類があるだろう。
しかし、瀬を抜けるとたいていは穏やかな流れとなる。
先の見えないトロ場も
進むにつれて美しいものが見えたり、流れがでてくるというもの。
だから今、困難のさなかにあり悶えている人には
とにかく漕ぐ手を休めずに進んでいって欲しいと思う。
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スタート地点へ向かう途中に車から見た
「おや?」と思う(注意すべき)場所が近づいてきた。
そこには目印となる赤い橋があり
その手前に、ちょっとした落ち込みを伴った瀬がある。
4人はその瀬の手前で舟を岸につけスカウティング。
見ると左岸の河原からポーテージ可能だし
左岸寄りの浅い流れに舟を流すこともできそうだった。
しかしその瀬を、じぃーーーっと見ていると
「あそこなら行けるかも」というルートが見えてきた。
という訳で、まずは隊長が突撃!
瀬の直前で思いっきり舵を切らねばならなかったが
流れに押され、岩に乗り上げ気味になりながらも無事に通過!
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なんだ、隊長でも行けるんじゃん!と、
ケイにぃは、もう舟に乗り込んでいる。それに従い前席へ乗り込むカズねぇ。
二人も隊長のように流れに押され岩に詰まりそうになりながらも突破!
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そして最後にサスケ氏が
「オイラはそんな無難なルートを通りませんよぉー!」と
涼しい顔して突っ込んで行った!
勢いをつけて漕ぎ抜ける3人とは違い、
サスケ氏は舵をとる程度にパドルを刺すだけで、ジワリジワリと瀬に入ってゆく。
まるで「えーっとぉ、この先はどんな感じぃ?」と瀬の力量を測り楽しんでいるかのよう。
しかしながらそのサスケ氏もまた
瀬に入る直前に流れに押され、舟が思い切り横向きになった!
この時あきらかに「やべ。(汗)」というサスケ氏の心の叫びが聞こえた。
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そして次の瞬間、舟は横向きのまま川底の岩に乗り上げ、グラッ!と傾いた。
とっさに身をよじりバランスを保つサスケ氏。
「ちっ!」(舌打ちする隊長)
初心者ならアレで沈してただろうに。 惜しーなぁ。。。(^;^)
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舟は流れに押され、ついには後ろ向きになり引っかかってしまった。
サスケ氏が下流を指さし、なんだか苦笑いしている。
見るとポンプがプカプカと浮いていた。。。
どうやらさきほどのグラッ!の時にポンプが沈したらしい。
この時、サスケ氏は
「しまった!アイツ(隊長)にとんだところを見られてしまった!」という
じつにバツの悪そうな顔をしていたので、
隊長もそれに応え
「え?ポンプぅ?すくって欲しいのぉ?そんなにすくって欲しいのぉ〜?
はいはい、じゃあそのポンプすくってあげますよ。しかたないなぁーもう!」
という表情で微笑み返した。
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隊長がポンプをすくい上げ、岸から氏の動向を見ていると
サスケ氏はその豪腕でパドルを突き刺し、舟もろとも岩から引き離し、難なく突破!
岸へと上がってきたサスケ氏に向かって、すかさず隊長は”いつものお返し”をする。
隊長「えー、このピッカピカのポンプ、
だれか1万円で買いませんかー!?」
サスケ氏「。。。。。」
苦笑いのサスケ氏は、その豪腕で隊長からポンプをブン獲り返した。。。
ここからまた少し下り、白くて広い河原でお昼ご飯にした。
この河原から見える風景は、じつにシンプルで美しい。
世間の物事も、もっと単純になればいいのに。。。
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昼食後、再び漕ぎ出す。
川にまだ濁りが入っているせいか、
今日も翌日も釣り人は数人程度しか見かけなかった。
人の気配もなく、セミの鳴き声も無くなった川は、寂しいくらいにシンとしていた。。。
紅葉の時季になるとまた素晴らしい眺めになるんだろうな。
目をつむり、想い流れた。。。
←趣のある細い吊橋を多く目にした
今でこそ頼りなく見える吊り橋も、昔は主役(民の命綱)だったことを思うと感慨深い。
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しばらく漕ぎ下り、千頭駅の前までやってくると
蒸気が舞い上がっているのが見えた。 SLが停車しているのだろう。
ちょっと見たい一心でカヌーを岸に着けたいが、
この辺りの岸辺は砂利が高く積み上がっているため着岸できない。
前を行くサスケ氏がカヌーの上で立ち上がり、蒸気が舞い上がる方を覗き込んでいる。
隊長も”生まれたての仔馬のようなおよび腰”で立ち上がり、駅の方を覗き込む。
しかしSLの頭しか見えなかった。。。
はるか後方をついて来るケイにぃは、この二人の奇妙な格好を見て
「はっ!何があんねやろ?」と、また同様にカヌーの上で立ち上がった。
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サスケ氏と隊長は「やっぱココからじゃ見えねーな。」と諦めて座り直した。
そして振り返ると、いつのまにかケイにぃはカヌーの上ではなく
浅い川の中に立ち、なぜかバシャバシャと自分のカヌーを追いかけていた。
あとでカズねぇに聞いたところ、カヌーの上で立ち上がりSLを見ようとしたケイにぃは
次の瞬間バランスを崩し、真後ろにバッシャーン!と倒れたらしい。
カズねぇ「この人、両手をバンザイした状態で仰向けに倒れていくねん!
それがスローモーションのようで、おかしくて可笑しくて。(^;^)」
ケイにぃ「ちょっと聞いて下さいよぉ! この人ったら、笑ってばっかりで
私を川の中に置き去りにして行くんですよ! どう思いますぅ!?」
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カズねぇ「だって可笑しかったもん!
それよりあんな浅かったのに、よぅどこも打たへんかったなー。」
ケイにぃ「うん、どこも打ってへんねん。ヘルメットかぶってたしな。」
隊長「ほらぁー、やっぱヘルメットは要るでしょ!」
サスケ氏「。。。。。 それって、なんか納得いかねぇな。
だって普通そんな倒れ方しないでしょ!(爆)」
思わぬところで、思わぬ状態で沈してしまったケイにぃであった。。。
この後すぐに千代橋の手前にある河原に着岸した4人は、舟を岸上へ引き上げた。
そして車の回送をしたのち、お風呂と買い出しに向かった。
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まず、道の駅”奥大井音戯の郷”まで行ったが、
そこに温泉浴場が無いということを知り
そこから一番近い温泉”千頭温泉・旬”へと向かった。
ここは、じつに怪しげな外観とは裏腹に、とっても素敵な浴場だった!
温泉で癒された4人は、ここの女将に教えてもらった食料品店へと急いだ。
(なんせ大井川周辺にはスーパーというほどの店が無いので食料調達には苦労する。
ただコンビニは点々とあるため飲料や酒には困らない。)
この年の、この時期まで不漁だったサンマ。
身細いサンマしか仕入れられなかったこの小さな食料品店にも
やっと丸々と太ったサンマが入荷し出したという。
そのいかにも美味しそうなサンマを手に入れ河原へと舞い戻った。
品が薄い食料品店だったが
ほんの20年前までは隊長の住む田舎ではこんなのが当たり前だった。
なつかしいというか、いまだにこの形態で商売が成り立つ地域というのもスゴイ!
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キャンプ禁止という立て札も無いこの静かな河原にテントを建て、宴へと突入!
よく肥えたサンマを”局所的によく肥えた”ケイにぃが焼いている。
その嬉しそうな旦那の横で、カズねぇはすでに何かをバクバクと食っている。
見るとそれはサスケ氏から差し入れられた”殻付きアーモンド”だった。
隊長「あんま食べ過ぎると鼻血でるで!」
ケイにぃ「ほんまや、もうそのへんでやめとき。」
カズねぇ「これめちゃ美味しいで!なんぼでも入るけど今日はこれくらいにしといたろ。」
初日の夜だというのに(明日もあさってもあるというのに)
そのへんの計算ができない”隊長以外の3人”はこのあと飛ばしに飛ばし
カズねぇは喋るだけしゃべって速攻コットの上でいびきをかき始め、
サスケ氏は酔いに任せて悪態をつくだけ悪づいて早々にテントへと去り、
ケイにぃはいつも以上に赤ちゃんの様に舞い上がるだけ舞い上がりガクッと床に着いた。
その3人の酔っぱらい加減は、近年まれに見るほどで
ただ残された隊長は、やけに明るい月を見上げながら
「この人達はあした大丈夫なのだろうか???」と心配になるのだった。。。
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____________________19日___________________ |
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翌朝。。。
老人の朝は早い。 隊長が起きて行くと、二人はもう朝食の支度をしていた。
(あえて”二人”と書いたのだが、どの二人かはお察しの通りだ!爆)
今日はこの河原から道の駅”フォーレなかかわね茶茗舘”まで漕ぎ下ることにした。
が、、、 朝食後、サスケ氏の様子がすぐれない。
サスケ氏「うぅ〜〜〜ん、、、ちょっと気持ち悪い。。。」
隊長の不安は的中! サスケ氏が飲み過ぎた翌朝こうなる事は
過去のツーリングで経験済みだったので心配していたのだが
まったく懲りない忍びだな。。。(汗)
幸い今朝は”老人の朝は早い!”につられて早い時間から行動していたので
時間に余裕がある。 なので1時間ほど様子を見ることにした。
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この後、何度も戻したサスケ氏。
そしてもう出る物が何もなくなったという頃
サスケ氏は「たぶん、もう大丈夫。。。」とチカラ無く言った。
少しマシなったサスケ氏をケイにぃの車に乗せ、その車を隊長が運転し
回送用のサスケ氏の車をケイにぃが運転して出動!
バックミラー越しに見える
”小さなジムニーに乗るガタイのでかいケイにぃ”はとても可愛くて笑えた。(^;^)
サスケ氏を乗せた車を運転する隊長は
「あの時の借りはココで返す!」とばかりに
クネクネした山道を、よりクネクネと走った。
サスケ氏「てっ、てめえ!もっと真っすぐ走りやがれ!
気持ち悪いじゃねーかっ!」
隊長「あ、ごめんね!ごめんねー!(^;^)」←涼しい顔で応える隊長。
途中、気持ち悪くて戻しそうになるサスケ氏を何度か道端におろしつつ
回送を終え、河原へと戻ってきた。
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今日漕ぎ下る区間は比較的穏やかな区間で
以前から「フォールディングカヌーでゆったりと下りたい」と思っていた所だ。
河原から舟に乗り込み、スムーズな流れに乗る。
その先の千代橋の下あたりには、石が転がりまくった瀬があった。
石を避けつつゴンゴンと下る。
ここは鮎釣り師が入りやすいポイントらしく、竿が2本伸びていた。
昨日の区間とは打って変わって、広くゆったりと流れる大井川。
水も大分透き通り、これなら文句ない。。。
少し漕ぎ進んだところで
「あ、今日は思いのほかマッタリと流れゆく感じだな。」と思った。
と同時に「サスケ氏にとっちゃつまらない区間だな。」とも思った。。。
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特にどういうこともなく、、、広くて浅い大井川を淡々と漕ぎ下る。。。
この辺りじゃもう
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」という感はない。
ダムのない時代、この大井川は
どんな色をして、
どのくらいの量の水が、
どれほどのスピードで、
流れていたのだろう。。。
思い浮かべようと試みるものの、現代となってはもう想像すらつかない。
うはうは隊のホームページの写真を、100年後の青年が見た時
「昔(ダムが多かった頃)の川は、水が少なかったんやなー。
今の川の方が活き活きと流れてるなぁ。」とつぶやく世になってればいいけど
難しいか。。。
それよりも何よりも、このホームページが100年続くのかが疑問だ。(汗)
いや、まてよ。100年先にこの隊長の失態を残しておいて良いものかどうか?
悩みどころだ。。。
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ただただ、ひたすらに、、のっぺりと下っていると
隊長は橋の傍らに、、、ある物、いや、、ある者達を見つけた。
それは”橋を撮りながら下る隊長”だからこそ発見できたのかもしれない。
それは柳崎大橋をくぐり抜け、振り向いて橋の写真を撮ろうとした時のこと。
橋の端っこに、カメラを手にした者達が目に入った。
「はて?なんであんな端っこで3人肩寄せ合ってカメラを手にしているのだ?」
次の瞬間ピンッ!と来た。
隊長「サスケ氏!サスケ氏!橋のはしっこに3人のカメラマンが居るよ!」
サスケ氏「チッ、くだらねーダジャレ!どうせなら
”橋のはしっこに箸を持った人が居るよ”とかの方がいいんじゃね?」
隊長「そうか! じゃあ”橋のはしっこで箸を持って走ってる人が居るよ”ってどう?」
サスケ氏「おおー!かぶせたねー。(^:^) って、んな事どーでもいいよ。
それより何だぁ? あれはカメラマンじゃなくて
”鉄道おたく”とか”鉄っちゃん”とかいう者達じゃねーの?」 |
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隊長「そうそう、そうなんだよ。
ということはだよ、あの者達があそこでスタンバってるっつーことはだよ(^;^)
ひょっとしてこの橋をもうすぐSLが通過するんじゃねーの?」
サスケ氏「あー、なるほどね。 んで時刻表ではどうなってんの?」
隊長「えっ!? 。。。。。(汗)」
サスケ氏「調べてねーのかよっ!? ったく。。。
そういう大事なところが抜けてんだよなー、たいちょーはなー。。。」
隊長「そやなぁ。。。それ、大事なポイントやったなぁ。。。(汗)」
と、うな垂れた次の瞬間、
ポーーーーーぅ、 ポーーーーーーー!
という音がっ!
「あっ!」 顔を見合わせた二人は、慌ててカメラを取り出す!
さらに慌ててカヌーを岸に着け、カメラをスタンバイ。
あっという間に”あの者達”と同化してしまった。。。
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後からやって来たカズケイさんにも、その汽笛はちゃんと届いていたようで
慌てて岸に向かって漕いでいる。
(老人と言えども、まだ耳は遠くないようだ。 あっ、言ってしまった!大汗)
しばらくすると汽笛と伴にシュシュシュシュシュシュシュシュという
生では滅多に聞けないサウンドが近づいてくるっ!
うわーーー! くるよ、くるよー! (ワクワク、ワクワク、)
そして遂に現れた!
あの黒くて重厚なボディと蒸気が、山ぎわの樹木の間からチラチラと見える。
ここで隊長は悩んだ!
今この”山際を走るSL”を連写モードで撮ってしまうと
次の連写モードまでに駆動時間がかかってしまい
川に架かる橋の上を走るSLを取り損ねる恐れがある。
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よし!ここはひとつ、川の上を走り抜けるSLに的を絞ろう!
そう決めた隊長はファインダーから目を外し、己の目にSLを焼き付けることにした。
シュシュシュシュシュシュシュシュ
ポーーーーーぅ、 ポーーーーーーー!
ス、スゲェ。。。 オレ、鉄っちゃんでもないのに胸がドキドキしている!
なんなんだ!あの”鉄の重厚感”と”黒い威圧感”は!
鉄道ファンでも何でもないこの俺が、SLを前にもの凄くドキドキしている!
なるほど、そうか。。。
幕末の浦賀に現れたペリー艦隊(黒船)を見た民の衝撃は
こういうものだったのだろう。。。
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SLは山際を走り抜け、いよいよ鉄橋を渡り始めた。
ここで連写モード開始!あっというまに撮り終える。
橋の上では、まだまだ長い客車の列が走り続けている。
車窓は笑顔で溢れている。 うわぁー、さすがSL! 満員御礼やなぁ。
何とはなしに、その車窓に向かって大きく手を振ってみる。
と、次の瞬間
窓という窓から手を振りかえしてくれる!
「おおー!スゲー、なんだこの反応の良さは!」
(”いいとも”のタモさんの気持ちが少し分かったような気がした)
あまりの反応の良さに
今度は大きなアクションで”コマネチ!”をやってみようと思ったが
それをやれば車窓の顔という顔が蒼白になり固まることが予想され
親が子供に
「ダメ!やめなさい。あんな人に手を振っちゃだめ。目も合わせちゃだめよ。」
と言い聞かせるシーンが想像できたので、その衝動を抑えることにした。
あとで考えると”カヤッカー=変態”というインパクトを与えかねない行動を
とらなくて良かったと思った。。。 |
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こうしてSLは橋の向こうのトンネルへと消えていった。
ってか、なんだこの高揚感は!
こんなにドキドキしている自分に驚いた。
それにしてもイイものを見た。 川から眺めるSL。
静岡までやってきた甲斐があった。。。
それからまたしばらく流れてゆくと、、、
今度は河原で”カメラを手にした者達”がうろついていた。
そしてその前方には鉄橋がっ!
ははぁ〜ん、ここもSL激写ポイントなのか。。。
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ケイにぃ「うわっ、ここもSLが見られるんとちゃいますかぁ!?
この河原でお昼ごはんにしましょうよ!たいちょー。」
という訳で、、、鉄っちゃんの視線をよそにドカドカと河原へ上がり込み昼食。
(彼らにとっては迷惑な被写体だったかもしれない。。。汗)
弁当を食べてる最中に、ガタン、ゴトンと幾台かの普通列車が走り抜けて行く。
その度に我々はビクッ!と腰を浮かせ、カメラを手にし
「いや、音が違うな。」と言ってはまた座り直した。。。
その後、メシも食い終わり、いくら待ってもSLは来ない。
カズねぇ「たいちょー、蒸気の音がしたら起こしてなー!」
と言ってお昼寝の態勢に入る3人。。。
隊長「えっ? オレだけ起きて、番してろって!?」
サスケ氏「あんた、たいちょーなんだからさ。それくらいしなさいよ。
我々は”果報は寝て待て作戦!”でいくから。」
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隊長「クソッ! (こいつら放っといて下ったろか!)」
それから、お昼寝にも飽きるほど、ずいぶんと待ってみたがSLは現れなかった。
諦めて出発!
静かに流れる大井川の手のひらに乗り、クルクルと舞いながら流れてゆく。
ゆっくりと、ゆっくりと、流れてゆく。
「はぁ〜〜〜。。。」 深い、深い、深呼吸。。。
癒されるなぁ〜、と思いつつ流れていると
うしろの方で「ポォーーー!」という音が響いた。
途端にギョッ!っとした顔になり、一斉に振り返る4人。
ケイにぃ「なんやぁー、もうちょっと待っとけばよかったやんかー!」
あの河原から出発して5分も経っていなかった。。。(残念!)
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でもまぁ、こんなもんだろう。
出会える時には意図せずとも出会えるし
そうでない時は先ほどみたいに出会えないものなんだろう。。。
カヌー下りの最中に、
川から一度見れただけでもラッキーなんじゃないかな。(^;^)
それにしてもあの「ポォーーー!」が似合うのは
SLか、マイケルか、ってくらいだな。。。
どちらも今じゃレジェンド的な存在だ!
そんなことを考えているうちに、あっという間にゴール地点へと着いた。。。
昨日は水しぶきを受けながら豪快に楽しみ
今日は眺めを愛でながらマッタリと流れることができた。
いや、さすが大井川だな、と思った。。。
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道の駅横の淙徳橋で上がり、そこから一旦キャンプ地に戻る。
そしてまた昨日と同じ温泉へ行き、昨日と同じ食料品店で買い出して戻った。
ただ、今宵は昨夜とは違って、皆ペースを抑えて飲み進んだ。(笑)
特にサスケ氏は今朝の失態におびえるかのように飲み控え、おとなしかった。
カズねぇは相変わらず”殻付きアーモンド”をバクバク食べている。
あまりにもウマそうに食べるので、隊長も一つ二つもらって食べてみる。
そして何気なく、殻だけを器にあけアーモンドを口にしていると
カズねぇが脅えたような目で言った。
カズねぇ「えっ? そ、そ、それって、殻をのけて食べるものなん!?」
(一同ギョッとした!)
サスケ氏「か、か、カズねー、ひょひょ、ひょっとして、殻ついたまま食べてたのっ!?」
カズねぇ「あっ、、、はぃ。。。(汗)」
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隊長「たしかにこの殻は柔らかいから、食べれないこともないんやろうけど
食った量が、ちょっとハンパないんちゃうん!?」
カズねぇ「あちゃー! 殻がピスタチオみたいに堅くないから
てっきり食べれるんかと思ってたわっ!」
ケイにぃ「あんたは昔、ピスタチオも殻付きで食べようとしてたからなー!」
カズねぇ「キャー!恥ずかしい。 それ言わんとってよぉー!(大汗)」
隊長「まぁ、食べれない訳じゃないと思うけど。。。
しかし育ちがバレるでカズねー!(爆)」
どうやらカズねぇは、この小柄な体からは想像を絶する胃腸をもっているらしい。
こうしてまたひとつ
”カズねぇ・おとこまえ伝説!”が付け加えられたのであった。。。
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