櫛田川カヌーツーリングの前夜、深夜に入り土砂降りの雨。
うはうは隊バイク部長のノリさんからメールが届いた。
「大阪は今、大雨やけどそっちは大丈夫か? 河原にテント張ってるなら気をつけろよ。」
やさしい男である。
この日も八尾支部に泊めさせてもらっていた隊長は安心だったが、河原でキャンプしていたら今頃アセってただろうなぁ。。。
しかし物凄い雨音である。窓を閉め切っているにも関わらず、外の猛雨ぶりが伝わってくる。
”明日のツーリングはどうなるんやろ? 中止なら中止でもいいや。。。” 覚悟を決めて眠りに就いた。。。 |
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31日、早朝。
目が覚めると急いで窓の外を覗く。
”う〜ん、やはり雨か。。。”
憂鬱な気分で支度を整えていると、カズケイさんも起きてきた。
昨夜、遅くまで飲み過ぎたせいで予定より30分遅れている。
慌ただしく準備を済ませた3人は、慌てて1台の車に乗り込み出発!
フロントガラスに当たる雨粒達。 3人のテンションは低くなる一方だ。
けいにぃ「かずまるさん達の情報によると
”昨日の雨で水量が丁度良くなるだろう”ということです。
でもあまり降り続くと、今度は水量が増えすぎてしまい危ないので
”ダムの放水量を確認した後、現地で川を見て判断する”ということです。」
隊長「おっ、さすがですね。
やはり彼等のように放水量や水位を確認して行くべきなんでしょうね。」 |
かずねぇ「か、核心部、、、行けるかなぁ。。。」 今朝は珍しく口数が少ないカズねぇ。
どうやら今回漕ごうとしている区間には、みんなが”核心部”と呼ぶ、物凄い落ち込みがあるらしい。
その話を何度か聞かされるうちに、かずねぇの緊張が隊長にも伝染!
隊長「そこって、ポーテージできるの? ね、ポーテージルートあるよね?」 青冷める隊長。 早くも逃げ腰である。(弱っ)
というのも、隊長は昨日下った奈良・吉野川で、どういうわけか普段よりも全然操船がうまくいかず
いつもなら曲がれるような所でうまく曲がれないという絶不調に陥っていたからだ。
己の操船力に不安を抱いたまま核心部へ行って大丈夫なのだろうか。。。 じつはこの日の隊長はすっかり自信を失い、不安でいっぱいだったのだ。
車は三重県に入り、トンネルを抜けると雨は上がっていた。(奇跡だ!)
曇り空の合間から晴れ間が見え始める。 しかもこの辺りの路面はあまり濡れていない。
”このぶんだと天気はなんとかなるかもしれない!” 空が明るくなるにつれ、3人のテンションは急上昇!
道路沿いに見える櫛田川の水色もきれい! コーヒー色した濁流を想像していた3人は、その美しい川の色に驚き、同時に笑みが漏れた。
あとは漕げることを願うのみ。。。 |
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道の駅・飯高に到着。
カズケイさんがよく遊んでいる関西のカヌー仲間も全員到着ぅ〜!
イシタさん、かずまるさん、さなまるさん、りょーたさん。
みんな到着するなり、念仏のように”かくしんぶー”、”核心部ぅ!”と呟いている。
そして皆、その緊張を隠そうとするためか、ひきつった笑顔になっていた。(爆)
話をきくと、どうやら放水量も丁度良く、川の様子からも漕げるということだった。
今回我々が下ろうとしている区間は
普段は水量が少なく、めったに漕げないとあってみんな高揚している。
なにより、濁ってないということに驚いた!
この水量でこの美しさ、ってのはホント珍しい。 ぼくたちはラッキーだな!
スタート地点となる赤桶堰堤の下へ舟をおろし、出発の準備が整った。
この時になってもまだ、みんなは取りつかれたように
”かくしんぶ”、”カクシンブ”と呟いていた。 そしてお互いに励まし合った。
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”よしっ、今日の川はいつもとは違うぞ!沈したら厄介だからNO沈!で漕ぎ下ろう”
という、隊長の考えは甘かった。
このあと隊長は、櫛田川にもて遊ばれることになぁーる!
かずまるさんの説明を、みんな真剣に聞き入る。
堰堤からスタートして最初のうちは、いくつかの瀬が立て続けにあるらしい。
皆の表情が引き締まる。(約1名:顔がひきつっている←青いライジャケの男)
そばにある堰堤から流れ落ちる水の音が大きく、恐怖をあおる。
隊長は一抹の不安を抱いたままスタート!
先頭は、かずまるさん。
そのあとに、さなまるさん。隊長。イシタさん。カズケイさん。りょーたさん。
という布陣で挑む。
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どの瀬も、落差を伴っていることが多かった。
そのため、先頭を行くかずまるさんの頭しか見えない。
しかしその頭が左右どちらへ行くのかを見れるだけでも心強かった。
”あぁ、あっちから突入して、そのあと向こうへ抜けるんだな”
現れる瀬を常に必死で漕ぎ抜け、越えるたびにその下のエディで息を整える。
皆、楽しんでやろう!という気持ちと不安な気持ちが入り交じった顔をしていた。
瀬→緊張→エディ→リラックス を繰り返す。。。
隊長も瀬を乗り越えるたびに緊張がほぐれ
櫛田川の景色を楽しむ余裕が少し出てきた。
皆が”核心部!”と呼ぶ落ち込みは、まだまだ先。
それまではひとつひとつの瀬を確実にクリアしていこう!
なーんて呑気なこと言ってたら、かなり落ち込んだ瀬が見えてきた。
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先頭を行くかずまるさんが、後続の我々に
「まんなかのあと、左!」と大声で説明してくれた後、突っ込んで行った。
その様子をうしろから見ていると
かずまる艇はまるでダンスでも踊るように
ポヨンポヨ〜ンと跳ねながら瀬を突破していった。
2番手のさなまるさんも手慣れたもので、リズムよく瀬に突っ込んで行った。
そのパドリングはうしろから見ていてもほれぼれするもので、絵になっていた。
さて、いよいよ隊長の番だ。 先が見えないのでとりあえず説明通りに漕ぎ進む。
まんなかをストンと落ちる。
「おっ、この岩を左ね。そういうことね。ふむふむ。」と
頭では理解できたが舟が理解してくれなかった。(うまく操船できなかっただけ:^:^)
左の流れへうまく乗ることができず
勢いあまってその岩の上へ乗り上げ気味に突っ込んでしまった。
「やばいっ! 岩に乗り上げて引っ掛かるのはゴメンだ!」
そう思った隊長は、勢いで岩の上を滑り抜けようとした。
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が、世の中そんなに甘くはない。
気づいた時には体が半分、川に浸かっていた。(爆)
要するに舟から放り出されたのだ。
下で見ていた”まるまるコンビ”には「隊長が吹っ飛んだ!」ように見えたらしい。(笑)
結局、全身を川に浸けたまま岩の下から流され始める隊長。
”やべ、舟が岩下の反転流に捕まってるじゃないか”と思い
舟を回収しようと流れに逆らい泳いでいると
下流から正義のヒーロー・ブランコ王子!の声が、
あっ、いや、かずまるさんの声が聞こえてきた!(^:^)
かずまるさん「たいちょー、舟は僕が回収しますから、流れていってくださーい!」
安心して流される隊長。(あれ?今かずまるさん、笑いをこらえてなかった?)
まず近い方(左岸)へ流れ着こうと岸に手をかけたが
そっちは岸壁で岩がヌルヌルして掴めない。
掴めそうで掴めない、を2回繰り返したところで見切りをつけ
今度は右岸へ向かって泳ぎはじめた。
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そのとき隊長の目の前に、赤い彗星のごとく現れたさなまる艇!
さなまるさん「さぁ、わたしの舟に掴まりなさい!」
後部のループを掴む隊長。
プリンセスさなまる、いや、さなまるさんは
ズブ濡れの隊長を颯爽と右岸まで送り届けてくれたのだった。
いやぁ〜、二人ともありがとうございました!
隊長はもう貴方達に頭があがりません。 m(_ _)m
この模様をうしろで見ていたカズケイさんはアドレナリンが大量に放出されたようで
豪快にこの瀬を乗り越えて来た!
イシタさんは隊長の沈を見逃したらしく、しきりに悔しがっていた。(^:^)
そして彼もまた艇をグイグイと振り踊らせながら豪快に漕ぎ下ってきた!
隊長「な、なんだよ。。 みんな上手いじゃないかっ!」
このあと格段に口数が減る隊長だった。。。(笑)
また、幸いなことにその時の沈写真は撮られてはいなかった。(^;^)
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このあと、みんなから色々な御指導を受け、”そうれもそうだな”と思った。(^:^)
決して櫛田川をナメていた訳じゃないのだが
結果的にナメた装備で下ってしまっていた。
次回、このような川に来る時にはサイストラップ(サイブレス)を装着し、
パドリングジョンを着て自他共に安心できる状態で来よう!
みなさん、また機会がありましたら宜しくお願いします!
あっ、まだ終わっちゃいなかった。(汗)
そう、このあといよいよ”核心部!”が現れる。
←その前に、流れゆくイシタさんをお楽しみ下さい。
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←はい、舟が無くても流れていきますよー!
さて、イシタさんのくつろいだ姿を見て心が和んだところでいよいよ核心部!
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←皆が”カクシンブ”と呼ぶ、落ち込みを伴った大きな瀬。
この手前に来たところで、舟を左岸に着けみんなでスカウティング。
どうやら今日のカクシンブは、なんとかやり過ごせそうな状態だった。
(水量によって様々な難易度に変貌するらしいので注意が必要)
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さなまるさん
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さなまるさん、隊長、カズケイさんは安全策をとり、どまんなかコースを漕ぎ落ちた。
けっこうな落ち込みで、直前までその先が見えずに恐かったが
何とか漕ぎ抜けることができた。
ナイアガラの滝を落ちる時も、こんな感じで直前まで先が見えないんだろうなと思った。
(そんなとこ下るやつはいねぇ:汗)
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隊長
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カズケイさん
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←この落ち込みの後に続くストレートな瀬も水流が強力だった!
落ち込みを抜けてすっかり気を許した隊長は、この予想外に強い流れに突き飛ばされ
右岸の岩にバン、バーン!と衝突した。(危うく沈するところだったよ:汗)
川の上でシートベルトの大切さを知る隊長であった。。。
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イシタさん、かずまるさん、りょーたさんは左岸寄りからのテクニカルなコースを選んだ。
←イシタさんは一人乗りダッキー(セビラー社のSVX100)で
難なく漕ぎ抜けたのだった。
(現在コールマンがセビラーSK100DSというのを販売している)
イシタさんは”のんびりカヌーイスト”だと思っていたのに
ちょっと見ない間に”情熱パドリスト”へと変貌を遂げていた。(ビックリ)
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かずまるさん
ポリ艇で、じつに愉快そうに漕ぎ下る |
りょーたさん
自在にポリ艇を操っている |
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こうして緊張の元を克服した7人は
ホッとした面持ちで、その下の河原で昼食を摂ることにした。
この時、さなまるさんの「太陽ってスゴイねー!あったかーい!」という声で
青空が広がっていることに気づいた。 それほど緊張していたのだろう。。。
この河原からゴールまでは、それほど大きな瀬もなく、距離もほどほどだったので
軽やかな気分で漕ぎ下っていった。
そしてゴール地点の沈下橋にたどり着いた時には
みんな安堵感と名残惜しい気持ちが入り交じったようなイイ顔になっていた。(^;^)
結果的に、滅多に漕ぐことの出来ない状態の川を漕ぐことが出来てとても幸運でした。
関西のカヌー友達と一緒に漕げたことも嬉しかったなぁ。
本当に楽しい一日でした。。。 みんな、ありがとう!(^;^)
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